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『仁科フユミ』。 その名前は地元に捨ててきた。 私は今日からこう呼ばれるんだ。 『一条ユキ』。 「絶対に、この街の頂点に立ってやる。」 かたく握りしめた手のひらに、ギラギラと装飾したスカルプチュアの爪が食い込む。 吹き上げる風にもなびかない、ガチガチの黄色い巻き髪。 ブランドのロゴマークにうっすら黄ばみが入っていることなど気付きもせず、その大きな鞄を肩に引っさげ『ユキ』はネオン街に消えて行く。
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