49人が本棚に入れています
本棚に追加
『仁科フユミ』。
その名前は地元に捨ててきた。
私は今日からこう呼ばれるんだ。
『一条ユキ』。
「絶対に、この街の頂点に立ってやる。」
かたく握りしめた手のひらに、ギラギラと装飾したスカルプチュアの爪が食い込む。
吹き上げる風にもなびかない、ガチガチの黄色い巻き髪。
ブランドのロゴマークにうっすら黄ばみが入っていることなど気付きもせず、その大きな鞄を肩に引っさげ『ユキ』はネオン街に消えて行く。
最初のコメントを投稿しよう!