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『一条ユキ』…。 何度も何度も頭の中で唱えるうち、本当に自分はユキという名前だったかのように思えてしまう。 『ユキ』は携帯を取り出し、地図を確認しながら目的地へと向かう。 携帯のネット求人で見つけたキャバクラ店、『ユアレスト』。 レストランのバイトなら1日かかっても稼げない給料を、たった数時間で稼げるという謳い文句。 華やかで可愛らしいキャスト達の写真に自分を重ねてみる。 みんな共通しているのは大きな瞳に真っ白な肌、日本人離れしたスタイル、カリスマ性の塊だ。 長いスカルプチュアの爪も、風になびかない黄色い髪も、ユアレストのコンセプトに合わせてオーダーしたものだった。
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