飛べないオタクはただのオタクだ

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「バーカ!」 「キモッ!」 今日は、登校早々バケツいっぱいの水を頭からぶっかけられた。 俺は、彼らに目もくれず席に着く。落ち着け、こういう時は素数を数えるんだ。…って、素数って何だ? 「オタクは、家に引きこもってろよ」 「そうそう。キモイんだよ。このファイルとか」 「それは…っ!!!」 毎度お馴染みになった罵倒を受け流し、鞄から濡れた教科書等を出していると、一瞬の隙を突かれ、鞄の中からローソン限定のまどマギのクリアファイル(マミさん)が引き抜かれ、踏みつけられた。 お前…俺がそれを手に入れるのにどれだけ苦労したと思っているんだ…。キャンペーン初日、午前0時から近所のローソンに走ったんだぞ…。 俺は、すぐに手を伸ばして取り返そうとした。…が、痛々しくなったマミさんに触れる前に俺の体は地面に落ちた。取り巻きが腹に蹴りを入れたのだ。 「弱っ!」 「島風さぁ、いい加減に現実見ろよ?」 「無理無理。現実見たら、自分の惨めさに死ぬしかなくなるって」 笑い声と共に、マミさんがぐちゃぐちゃになっていく。あぁ…俺のマミさんが…。 俺は、唇を強く噛み締めた。悔しい、悔しい、悔しい!! オタクで何が悪い! 誰にも迷惑掛けてないし、法に触れることでもない!ただの一個人の趣味なのに、どうしてこんなに蔑まれなければいけないんだ!
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