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人が見ているとは知らずに、学はただひたすら楽しんでいた。
それはまるで、初めて格ゲーでコンボを成功させた高揚感に似ていた。
ただ攻撃を避けているだけなのだが、身体が思うように動くと言うことは、今まで感じた事のない新しい"感覚"。
決して不快な感覚ではなく、純粋に楽しい。
そう思ってしまった。
そうなると色々試したくなるのが人間である。今ここでドラゴン相手に自分の能力がどこまで通用するのか、試したくなるのも致し方ない。
ふいに学は距離をとる。
「ドラゴンさん…思いの外楽しかったよ……だからね、そろそろ終わりにしよう」
そういって学は平手をうつ。そのまま両手を地面に打ち付けた。
地面と手のひらから、バチバチッと小さな稲妻が走った瞬間。
ドラゴンは無数の土の棘に貫かれた。
『ウガァ……ァ』
ドラゴンは、なすすべもなく頭を垂れる。
「まぁこんなもんか」
パンパンとズボンの埃を払い、ドラゴンに近付く。
「目の能力も試さなきゃ」
「………思ったより売れる部位が多いな…肉は高級品なのか、食料はしばらく持ちそうだな」
空間も使い、ドラゴンを軽く解体し素材と食料に分け仕舞う。
後は軽く荒れた地面を元に戻し歩みを進める。
「……ドラゴンを一撃…接触は止めて、ギルドに報告ね」
少女もまた、歩みを早める。
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