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その間に俺は親の狼に近付き状態を、確認する。
死んでそんなに立っては居ないが、傷痕から人為的でないことはわかった。
まぁここに置いておいても仕方ないし貰うか。
すぐさま空間に放り込み、歩き出そうとするが子犬が気になり立ち止まる。
『クゥン』
先ほどの子供は、親がいた場所に座り込み悲しげに鳴いた。耳は元気なく下がり、尻尾も元気なく揺れていた。
そんな姿を見てしまうと放っておけなくなる。子供に近付き、その横にしゃがみこむ。
「お前も寂しいよな」
そういって頭を撫でる。
『クゥン』
「一緒にくるか?」
なんでこんな言葉が出たのかはわからない。
いや、わからないフリをしているだけで本当は自分の気持ちに気付いていた。
たとえ、神に能力を貰おうとどんなに融通されようと、この世界では俺1人しかいないのだから。
今横にいる子供の狼となんら変わりはない。
親が居なく身寄りもない。
なら同じ痛みを分かち合う仲間が欲しい。
たとえ人じゃなかろうが、少しでもこの気持ちが和らぐならなんだって構わなかった。
『ペロッ』
子供の狼に指を舐められ現実に戻る。
先ほどより少し元気に尻尾を揺らし俺を見つめる。「そうか、よろしくなっ」
子犬を抱き上げそう口にする。
『ワウッ』
「名前決めなきゃな………ん…メスか?」
『グルル』
子犬でもそう言うのはわかるのか少し威嚇してくる。
「怒んな怒んな。んー…新しい仲間いや新しい家族って意味でニカ…語呂が悪いなぁニカニカ…ニコ…ニコ!」
「お前の名前はニコだ!俺は学!よろしくなニコっ」
『ワウッ』
青白い毛並みの子犬を頭に乗せ歩きだす。
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