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『俺』は酷く驚いていた。
なにせ俺が3年近く愛用しているパソコンの中に女の子?がいたのだから。
しかも動いてなにやら喋っている。
「おはようございます!今日からあなたがマスターですね?
ってかもう昼ですよー。いつまで寝てんですか。
学校いかないんですか?」
(マスター?なんの事だ?
というか何故こんなにも自然に喋っているんだ?
新手のウイルスか?
それにしても最近のAIはこんなところまで進化していたのか?
だとしても何故俺のパソコンに?…)
疑問が次から次へと溢れてくる。
そして結局一つの結論にたどり着いた。
(あぁ、これは夢か。)
ということで今日はこれで寝ることにした。
布団に潜り、目を閉じる。
どうせ夢ならさっさと覚めてくれ。
「うわー!マスター現実逃避してないで起きてくださいよー!
そんなんじゃ彼女できませんよ?
自己紹介しましょうよ!私は…」
「あぁもう!うるさいよ!夢なら大人しくしてろ!」
俺は珍しく大声を出してしまった。
「夢じゃありませんよ!だってあなた私のファイルダウンロードしたじゃないですか!
もしかしてマスターはアホの子ですかー?」
やっぱり五月蝿い。
仕方がないから頬をつねってみた。
(…痛い。)
現実らしい。
渋々パソコンの前に座る。
「で?お前は何なんだ?」
ブラウザを開きながらソレに尋ねた。
ブラウザを開いたのは勿論いつもの〇ちゃんねるでこの意味不明なものについての情報を集めるためだ。
「お前じゃないです!私にはエネっていう立派な名前があるんです!
あ、話聞いて下さいよー!」
ブラウザがひとりでに閉じた。
ふざけるな。
(やっぱりウイルスか…)
とりあえずアンインストールが先決だろう。
こんなの入れておいたら俺のインターネットライフが台無しだ。
(…って、あれ?)
どれだけ探してもファイル名が見つからない。
すなわちアンインストールもできない。
「へっへっへ…無駄ですぜマスター。
このパソコンは私が乗っとりましたーっ!!」
エネが得意気に言う。
「ふざけるなよもう…」
そもそもどうしてこんなことになってしまったんだ。
それはほんの少し前に遡る…
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