第一話

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そう。全ての始まりはあのときだった。 俺は午後近くになってやっと起き、適当にパンをかじっていつものようにパソコンに向かった。 するといつもは迷惑メール以外来ないはずのメールボックスによく分からないメールを見つけた。 差出人:不明 題名:なし 添付ファイル:1点 内容:なし 迷惑メールでもここまで変なメールは見たことがない。 そもそも差出人が不明になること自体おかしい。 そんな怪しいメールの添付ファイルを疑いながらも開いてしまったのは一つの理由があった。 自分のパソコンに入っていたウイルスソフトを信頼していたから。 しかし、そんな思いは直ぐに打ち砕かれる事となる。 添付ファイルをクリックした途端、画面に青い髪で 「>ワ<」 こんな顔をした女の子の顔だけが続々とパソコンに表れ、直ぐに画面を占領してしまった。 勿論俺はマウスを動かしたりescキーを連打したり再起動をしようとしたり…挙げ句の果てには強制的に電源を落とそうともした。 しかし何も反応はなく、次いで 『「File: enomoto takane01」をダウンロードしますか?』 と表示された。 ここでいいえか×を押すことが出来れば良かったのだが、画面には『はい』のボタンしか見当たらない。 (…もう俺のパソコンも古いし、買い換える予定だったからいいか。) そう思い、『はい』をクリックした。 直ぐにファイルのダウンロードが始まり、画面を占領していた顔が消え、画面端に女の子が形作られ始めた。 ダウンロードは数秒で完了したが、ここでやっとウイルスソフトが起動。 ポップアップで 『「File:enomoto takane01」には問題が存在します。削除しますか?』 と表示。 しかし画面端の女の子はどこからかピコピコハンマーを持ってきて言った。 「邪魔ですねーこれ!」 そう言ってポップアップをピコピコハンマーで叩くと、ウイルスソフト自体が消えた。 おかしい。絶対におかしい。 あり得ないことなんだ…っ! そして現在に至る、というわけだ。
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