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俺は左脚を地面に突き刺すように強く踏み込み、それを軸にするように右脚で地面を蹴る。地面を蹴ると、左脚も軸の役目を終えて地面を離れた。そして俺は、宙に浮きながらも体を90°左に回転させる。
無理な動きに体が悲鳴を上げ、頭に警鐘が鳴り響く。でも、俺は今朝摂取した牛乳を信じている。
俺はここから、体に働いている力の方向と逆向きに切り返さなければならない。そのためには……。
俺は地を蹴った右足をそのまま引っ張って来て、牛乳パワーで体にかかる力を逆方向に転換した。そして、それと同時に切り返すように右足で地面を蹴った。
牛乳パワーは物理法則をもねじ曲げる。ただし、やりすぎると体に負担がかかる。
とにかく、今は体のダメージを感じないことだ。体が軋もうが、命の危機が迫ろうが、それらを気にするのはゴールしてから。それが徒競走だ。
俺は体の痛みを意識の外へ放り出しーー
ーー無事にコーナーを越えた。
当然、佐藤は難なく曲がることができるのだから、俺の少し前を行っている。
さぁ、勝負はここからだ。
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