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最後の直線、ここは本来、俺の最も得意とするところだが、それにしても佐藤との距離は開きすぎている。
しかし、諦めるわけにはいかない。徒競走に出ることを選んだ時点で、諦めることだけは許されないのだ。
「……はあああぁぁぁあ!!」
俺は雄叫びと共に、自らの限界を引き出す。そして、限界を越えても、その奥にあるものを引き出す。
身体の中心が熱くなるのを感じると、頭の先からつま先まで、まるで自分のものでは無くなってしまったかのように感覚が抜けていく。
負けない、負けるわけにはいかない!!
ただ一つの強い想いだけが体中を駆け巡り、遂には相手の佐藤の姿すら意識の外に放り出した。
そして、そのまま倒れ込むようにゴールを越えたーー
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