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そして龍は微かに首をもたげ、干からびた喉を震わす。
「儂を……殺しに来たのか――<勇者>よ」
思いのほか滑らかな口調の言葉は、セイレーンの歌のように周囲に響いた。
その問いに私は、息を吸い込み、息を詰めた。そして言葉が震えぬように腹に最大限の力を籠め、言葉を発する。
「嗚呼……それが、王の、我が国の民の……願いだ」
「――そうか」
すると龍の口から、どこか満足気な呟きが漏れた。
自然と零れ落ちたような、柔らかな響き。どこかその言葉の持つ意味が、周囲の空間に物悲しく浸透する。
そして龍は前肢を動かしては頑強な爪で地を掴み、ゆっくりとだが体を起こした。
そこには覇気も無く、ただ静かに佇む姿があった。
「千年か――思えばよく生きた」
感慨深く呟き両翼を広げた。バサリ、と押し広げられた龍の翼は、くっきりと骨の形状が浮き出ている。
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