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そんなやりとりをして、いい加減逃げたくなってきた頃、チャイムの音が聞こえて僕が顔を上げるといつの間にか彼はいなくなっていた。
……ひょっとしたら僕が顔を上げないからもっと前に消えていたのかも。
「はぁ……帰ろ…」
そう思うと尚更自分が情けなく思えた僕はとぼとぼと附属棟を後にし、帰路についたのだった。
寮に帰りついて鍵を開けると途端に中から大声が響いてきて、僕は附属棟の彼に与えてもらったほわほわとした幸せな気持ちが一気に萎えていくのを感じ溜め息をついた。
毎日毎日、こんな馬鹿騒ぎをして疲れないのかな、彼らは……。
寮監さんからも怒られないのかなとも思うけど、寮監さんも転入生くんの横暴に匙を投げたような人だったから多分太刀打ちできないんだろうなと最早諦めしかない。
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