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鬱々としながら僕は共同スペースに繋がる扉に手をかけた。
ここを通らずして自室に向かう事はできないから避けようがないのだ。
「あーーーー!!!!!どこに行ってたんだよ!!探したんだぞ!!」
音を立てず、空気になりきったように……とそっと扉を開けたけれど無駄に終わる。
毎回そうなんだけど、彼は騒ぎの中心にいるのにどうして僕の事がわかるのかな……。
嫌気と少しの疑問を抱きながらそれでも無視をしたり嫌な顔をすれば途端に顰蹙を買うのはわかっているから僕は肩を竦め、申し訳なさそうに口を開いて答えた。
「…ご、ごめん。ちょっと用事があって……」
「また用事かよっ!そんなものより俺を優先しなきゃだめなんだからな!!俺はしんゆうなんだぞ!」
ぷくーっと小さい子どものように頬を膨らませて彼は怒る。
それを見て役員様方がこぞって彼を宥め、可愛らしいともてはやす。
これももう恒例の光景だけど……僕がいつ彼と親友になったというんだろう。それに親友だとしても外せない用事があったって普通だろうに。
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