序章

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「い、てて……」  朝起きると、土臭い土蔵の中だった。  格子の窓から差し込む朝日が、梨花にはとても滑稽に思える。ここは自分の部屋ではないのだと、細かく切り取られた光が教えてくれるからだ。  奥には壺やら木の箱やらが大量に並べられていて、その他探せば槍も真剣も、苦無だって出てくるだろう。ここは危険物の宝庫だ。  横になっていたビニールシートの上から身を起こす。  今までブランケットをかけてぐっすり眠っていたが、この場所はお世辞にも寝心地がいいとは言えない。関節があちこち痛いのが、その証拠だ。
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