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今日はいるだろうか。
引退してしまった先輩はなかなか部活に来てくれない。
ちょっと早めに行って二人きりになれたらいいのになんて思ってから二週間ほど。
まだなれた試しはない。
「失礼します!」
誰もいない部室。
ため息を思わずしてしまった。
「やっぱりいないか…」
部活が終わり、鍵当番で残っていると雨音が聞こえてきた。
「あ…かさもってない」
サイアク。
落ち込んだときだった。
「まだ残ってる?」
声がした。
絶対間違えない。
ずっと待ってたあの声が。
「先輩!?」
「鍵当番?」
先輩はにこやかに笑う。
胸が高鳴った。
「はい!先輩は?」
「ん?部室に置き傘してたんだ~…あったあった。良かった~」
「良かったですね~」
二人きり。
ドキドキして死にそう。
「あれ、傘は?」
「あ…えっと、ないんです」
正直に答えると先輩は考えるそぶりをみせた。
「鍵かえしたらまたここにおいで」
「え?」
「一緒にかえろ」
一瞬なにを言われたかわからなかった。
「えっ」
「女の子なんだから。ずぶ濡れはだめだよ」
先輩はそう言って私の頭をなでた。
私は真っ赤になった。
気づかれたくないから、先輩の手が離れたらバタバタと準備をし、鍵を閉めて走って鍵を返しにいった。
まってる。
後ろから声がした。
きっと真っ赤なの、バレてる。
今日、告白してしまおうか…。
先輩が好きです。
鍵を返しまた走る。
伝えたい。
好きなの。
「先輩!!」
end.
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