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「別にすきじゃねーし」
小学生の男子はめんどくさい。
好きなのにいじめちまう。
「たくみくんあやのこと嫌いなの?」
ほら、またやっちまった。
「別にそんなこと言ってね~だろ!うるせーな」
好きって言いたいのに。
口は違う音をだす。
「たくみくんなんて知らない!!」
泣かせてしまった。
違う。
泣かせたいんじゃない。
どうして素直になれないのだろう…。
「…」
かける言葉が見つからない。
「あれ?あやちゃん?」
「…くん」
そうこうしてるうちにクラスの男子が来た。
「どうしたの?」
俺はだまって顔を背けた。
「たくみくんがあやのこと嫌いだって…」
それを聞いたそいつはこちらを睨んだ。
「…あやちゃん、僕は」
俺は動揺した。
それに気づいたのかそいつはちらりとこっちを見てまた、あやを見た。
「僕はあやちゃんがすきだよ」
「え…」
あやは驚いて顔を上げた。
「たくみくんなんかより好きだよ」
むかつく。
なんだよ。
俺は、俺は…
「俺は世界で一番あやが好きだ!」
気づいたら言っていた。
一度素直になったらすっきりした。
「大好きだ!!」
しっかりあやの顔を見て言った。
あや泣き顔が笑顔になって気づいたら俺の腕の中にいた。
「あやもたくみくんが大好き!」
素直になれた。
気持ちが伝わった。
俺は嬉しくてちょっと涙がこぼれた。
end.
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