第零章

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召喚石を空いた手で一度タッチする。 すると目の前に「使用しますか?」と確認画面が現れ、YESをタッチした。 召喚石はバリンッと突如として破砕音を響かせ、外側から鈍く輝く紅色の結晶は卵から羽化するかの如く粉々に割れた。 そして、中に封印されていた召喚獣は光を纏い、次第にその輝きは増して目も開けられないくらい発光し始め、シルエットを拡大させていく。 しばらくして光は弱々しくなったので、俺はようやく目を開けると、そこには身の丈二メートルほどのライオンのようなモンスターが悠然と存在した。 ライオンのようだが、普通と全く違う点がある。 それは、一般的にあるライオンの鬣が炎になっているのだ。 この召喚獣は炎の鬣を靡かせながらグルルと喉を鳴らして今からでも俺を喰い殺しそうな覇気を纏わせている。 だがまぁ、実際主人を襲うことは百パーセント有り得ないのだが、システム的に。 「よしっ」 俺はひょいっとライオンに跨がり、座りやすいようにベストポジションを尻を浮かせながら探るとしっくりくる態勢が取れたのでライオンの起動モーションである首もとをパンパンと手のひらで二回ほど叩いてやった。 すると、ライオンは夜空に顔を向けてはちきれんばかりの咆哮を轟かせ、それを合図に俺は上体を屈めて備える。 そして________ アクセル全開でスタートダッシュを成功させ、速きこと風の如しで、まさに疾風のように広大な大地を走り出した。
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