第零章

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街並みは西洋のレンガ造りで、今にも優雅なクラシック音楽が流れそうな雰囲気を醸し出していた。 そんな街中を歩き、しばらくして人通りの少ない脇道へと曲がる。 すると、しばらく奥へ進むと、小さな看板が申し訳程度に置かれていた。 ここは知る人ぞ知る隠れ名店の酒場だ。 この酒場は、上位者がある取引をしたり、人目を気にせずゆっくりできる店で、ほとんどいるのはレベルの高いユーザーばかりだ。 俺はそんな酒場に何の造作もなく足を踏み入れ、一番奥の席に座る。 いつもここに来る時は一番奥の席に座っているので、ここは俺の指定席みたいになっている。 ここは仮想空間なので注文はテーブルを二回ポップすればメニューウィンドウが現れ、品を選ぶことができる。 俺はウィンドウを出現させ、タートルコーラをタッチした。 これは現代の飲み物で言うコーラだ。 品を選んでから僅か数秒でグラスに入った飲み物がテーブルの前に立体化、構築されて俺の前に出現した。 ひとくち、口に含む程度にドリンクを口元にもっていき飲んだ。 現実のコーラとほぼ同じで、炭酸の強さなんかもかなり近かく、かなりの再現度だ。
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