デス・ゲーム 前夜 

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東京の都心部にビルディングが所狭しと建ち並ぶ中で、一際存在感を感じさせているビルがあった。 秘密機関本部______それがそのビルで、全面がガラス張りとなっており、まるでガラス細工のように美しく、超がつくほどの著名人が建築したといわれている。 ビルは月明かりに照らされ奇怪千万にガラスが光を反射させていた。 そんなビルの最上階_____________ テニスコート分の広さはあるだろう内装は殺風景で、テーブルと椅子しか置かれていなかった。 部屋の中央は大きな正方形のテーブルが置いてあり、八人の偉人たちがそれぞれ腰掛けていた。 「今回はどれに致しましょうか。」 物腰の柔らかい声で言いながら男は目の前に置いてあるタブレットを指先で横にスライドさせていた。 「ふむ……今回はこれでいいんじゃないか。」 少し体躯がゴツゴツした五十代の男が重低音のある声で無精ひげを撫でながら言った。 無精ひげの男はタブレットをトントン、と二回叩くと、テーブルの中央に置いてあるホログラムを作り出す機械が青白く発光し、パッと宙に映像を映し出した。 縦横一メートル程の半透明の矩形が現れ、一定の感覚で九十度回転している。 「なるほど、これですか。」 薄笑いを浮かべながら丸目がねをかけた30代の若い男が言った。 「いいんじゃないですか。これなら≪彼ら≫も必死にやってくれるでしょう。」 「そうですね。」 次々に賛成の声が上がり、男達はタブレットの右端に表示されているOKボタンをタッチした。 無精ひげを生やした男はくくく、と喉を鳴らして、不吉な笑みを浮かべながらタブレットに表情されていた文字を眺めた。 日本が初めて開発したフルダイブ技術搭載の超感覚ゲーム そして______日本中の、このゲームをプレーする人々を恐怖で震撼させる最高にして最悪の超大作 _______ワールド オブ ファンタジー
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