第零章

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走ること10分、かなり奥の方までフィールドを探検していたようでまだ出口が見えない。 そうしてる間にも辺りはさっきよりも更に暗く、視界が黒く塗りつぶされてきた。 風が吹き付けて木々が揺れてザワザワと音を立て、不安感が募る。 よく見ると木の模様も心なしか人面樹のようで恐怖心を掻き立て、少し焦りが見えはじめるが必死に平常心を保ち、足だけをひたすら動かした。 「……!」 目の前は僅かに光が差し込み、近付くごとにその光は大きく拡大していく。 「やっとか……」 出口近くまでやってきてようやく一安心、早くなっていた動悸が落ち着き、ホッと胸を撫で下ろした。 そして________ 狭く薄暗かった眼前は突如として広大無辺の草原を映し出し、上を見上げれば満点の星空が広がっていた。 今日の天候は気候パラメータが好機のようで雲一つなく、肉眼でもはっきりと美しく輝く星々が見えた。 こんな綺麗な満点の星空を見ていると、まるでデス・ゲームがこれから起こるなど微塵も感じさせない。 今思えば、これは嵐の前の静けさだったんだ。 非現実的出来事など予期するなど当然出来ずに俺は巻き込まれてしまった。 最悪極まりないデス・ゲームに________
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