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狭く、時代を感じる畳の部屋にて。
ゴロリと転がり、雨の音を聞きながら、つらつらと思案する。
始めに、この国の事を。
今のままでは、この国はよくならぬ。
まず、政治家の考え方を正さねば。
利を求めるのも構わぬ。
生きねばならぬのだから、当然であろう。
ただ、誰か一人くらい、この国を本心から憂える者が居ても良いのではなかろうか。
憂えるといえば、今の我が状況も憂うべきであろう。
転がっておるだけでは変わらぬと言うのに、我には転がっておる事しか出来ぬ。
歯がゆい。
歯がゆい…歯がゆいというのは、歯を軋ませる程に悔やむ、と言う意味であっただろうか。
言葉は、変わったり、変わらなかったり、様々である。
変わらぬ、と言えばこの部屋も変わらぬ。
もう何年と居るが、何も変わらぬ。
古びた畳、色褪せた壁。
最近買い替えたテレビは輝いているが、いつかこれも当たり前に変わって行くのだろう。
変わる、変わらぬ…。
変えるのは時間なのか、はたまた人間なのか。
人間の営みが時間…なのかも知れぬ。
人間がいなければ、時間を気にするものもいなくなる…。
さすれば、世界とは人間によって成り立つのやも知れぬ。
我はまだ、その答えを出せぬ。
若く、無知だ。
しかし、どれほど年月を重ねても答えには至れぬのやも知れぬ。
この問いを語り合え、知識を分け合える輩が居れば、話も変わろう。
だが、我にはその輩を得る術は無い。
嗚呼、哀しき哉。
我はここで思案し続けるだけなのであろう…。
おや、雨が止んだか。
夜も更けた…。
「ただいまー。あれ?また転がってるよ、この達磨」
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