第1章

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ハジマリの終わり1 防衛省テロ特命課のミッソー中佐とイリュージョニストの押田天光女史の二人は、成田国際空港の喫茶店にいた。 ミッソー中佐はバリ島から帰国したばかりで、天光女史が迎えに来ていたのだ。 「龍神池の時は世話になったな」 ミッソー中佐は言った。 「簡単なイリュージョンでしたわ」 天光女史はあでやかに微笑して答えた。 「あれを見たミサもユキも村人も、私が龍神池の龍に飲まれたと思うだろう」 「そう思ったから貴方のお墓があるんじゃないの」 「みんなを騙したのは心苦しいが、バリ島行きの命令が下っていたのでやむを得なかった」 「それは表向きの理由で、本当はミサさんとユキさんから逃げたかったんじゃないの?」 「それはない」 ミッソー中佐はきっぱりと言った。 「二人に会うの?」 「まだ決め兼ねているんだ」 「まあ。めずらしいこと!即断即決の貴方が迷ってるなんて!」 その時、ミッソー中佐の携帯が振動を始めた。 ハジマリの終わり2 『ただいま電話に出ることが出来ません…』 ミサは携帯をテーブルに置くと深いため息をついた。 純子と音信不通になってから今日で三週間になる。 高校時代から親しい付き合いをしてきた二人だったが、ある日、純子がこんなことを言いだした。 「ねえミサ、今の彼と結婚しないの?」 「うん、どうしてもまだそんな気になれないのよ」 最愛のミッソーが龍神池の龍に飲まれてから三年の月日が流れた。 妹のユキはすでに家庭を持ち子供にも恵まれ幸せな結婚生活を送っている。 ミサにも一年ほど前からお付き合いをしている男性がいるが、なかなか結婚には踏み切れずにいた。 「私、ミサにはどうしても幸せになって欲しいのよ」 純子はそう言うとバッグの中から一枚のパンフレットを取り出した。 byジャニス d3e97852-9abd-4ef5-ba27-f93ab0e55731
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