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ハジマリの終わり5
聖ピアス教団は埼玉の秩父山系にあった。
そこはかつて学生運動の武装集団『連合緑軍』のアジトのあった場所だった。
教祖のトーマスは、人間には七つの罪があり、体の七ヶ所にピアスをすることにより、罪を許され、ハルマゲドンを生き抜き、永遠の命を得ることが出来ると、わかりやすい教義を説いて人気を博していた。
ピアスをする場所は自由に選べたが、女性は性器にすることをすすめられた。
トーマスと共に教団経営にあたっていたのは、ピアス占いをしているアンナである。
アンナは男女の七ヶ所のピアスの位置が同じなら相性がいいとして、二人を結婚させていた。
ミサの友人の純子は、聖ピアス教団に入信していた。
ハジマリの終わり6
それから三週間、純子は勤め先はもちろん自宅にも戻っておらず、携帯電話も呼び出し音こそ鳴るものの留守番電話の音声が虚しく流れるだけだった。
ミサはテーブルに広げたパンフレットを眺めていた。
『聖ピアス教団』秩父に拠点を置くその教団は口コミで信者の数を増やし、活動を続けているようだが、パンフレットには活動内容までは記載されていなかった。
ミサは純子がここにいるに違いないと確信していた。
教団のパンフレットを持ち込み警察に捜索願いを出したが純子が成人した女性であることと事件性のないことから、本人の意志とみなされ取り合ってはもらえなかった。
こうなったら自分一人で捜す他ないだろう。
ミサは早速、職場に休暇願いを提出し、彼氏と妹のユキには二、三日、旅行に行くと伝えた。
byジャニス
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