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「これで、最後…!」
化け物が縦に真っ二つに裂かれると、身体は左右に分かれて倒れた。
薔薇とデュレイザの奮闘により、インサニティから生み出された化け物は殆ど物言わぬ肉塊となっていた。
「さて…、後は本体だけですね。」
「その前に、負傷した団員を運んだ方がいい。アルケリオも相当やられている。」
団員を気遣っているデュレイザを不思議に思ったのか、薔薇は無言で近付き、デュレイザの頬を引っ張る。
「…おい…!」
「貴方がそんな事を言うとは…。何があったんですか? 寝ぼけてます? て言うか大丈夫ですか?」
「何もないし寝ぼけてもないし大丈夫だ…! いいから手を離せ…!」
「嫌です。面白い顔になってるので。」
場が落ち着いたかと思いきや、2人はコントのような会話を始めた。
ディセントはこの光景に思わず吹き出し、笑ってしまう。
「おい、ディセント。笑ってないでコイツを止めろ。お前の父親だろ?」
「だ、だって…!」
「…ったく、こんな事をしてる場合じゃないだろう。奴にさっきと同様の化け物を出されたら、キリがない。今のうちに本体を叩くか、負傷者を運ぶかしないと、犠牲が出るぞ。」
インサニティの方に目を向けると、団員達の奮闘もあってか、動きが弱まりつつあった。
しかし気配は衰えていないのか、その場の誰もが警戒心を解けずにいた。
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