一章 契約

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俺が漫画やラノベを読んだりアニメを見たりするようになったのはつい最近だ。 きっかけは、ただの気まぐれだった。 それが思いの外、面白く嵌ってしまった。 毎日が退屈で、つまらなかった俺が見つけた唯一の娯楽だ。 勿論、学校の友達は疎か家族にさえ秘密の事だ。 しかし、いくら漫画が面白いとはいえ あくまでも暇つぶし、俺の渇いた何が満たされるわけでは無い… こんな退屈な毎日を変えてくれる。 終わらせてくれる何かを俺は望んでいた。 それは何でもいい。 恋でも夢でも… しかし、恋なんてモノを軽々しくする事が出来ない理由がある… 俺の家、日傘家は、日本有数の大財閥である傘の御三家の一つだからだ。 一族の歴史は長く、世界的にも有名なので俺が下手に恋人なんかを作ってしまったら家に迷惑がかかってしまう可能性があるからだ… 家に迷惑をかけない為に昔から完璧な人間を演じてきた。 そして、それ故に俺の人生は渇いてしまった。のかもしれない… いや、家のせいにするのはお門違いか… とはいえ恋人を作ったとしても渇いた何かが潤う訳でもないかもしれない。
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