序章 始まりの終焉

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空は闇に覆われ、雨は激しく降り、雷と風の音が世界を支配する。 山は崩れ落ち、町は燃え盛り、人々の悲鳴や慟哭が私の耳に響き渡ってくる。 それはまさにこの世の終わりという言葉で表す事が出来る。 いや、これは本当に終焉なのである。 こうなる事を私は知っていたのだ。 だからこそ、私はこの終焉を止める。 そのための契約で、そのための力で、そのための人生だったのだから… 「本当にこれで終焉は回避されるのよね?」 意味の無い問い。 例え、終焉が回避されたとしても私はどうせ死んでしまうだろう。 両親はすでにいない。 親友も死んでしまった。 私が死んでも悲しむ人はいない。 「正確には一時的にですが」 「十分よ」 私の命と引き換えに沢山の人の命が助かるのなら… もう誰も悲しむ事が無いのなら… 「じゃ、行くわよ…私たちの最後の戦いに…」
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