序章 始まりの終焉

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でもそんな綺麗事は、建前に過ぎない事を私自身が一番分かっている。 本当は死にたいだけなのだ。 家族も親友もいない。 私の大切な人が誰一人いないこの世界で生きてゆく自身がないのだ。 だから逃げる。 世界を救う事を理由に逃げるのだ。 世界を救う理由がこんな事だというのはなんだか申し訳ない気がするけど… どうせ、私が世界を救う事を普通に暮らしている人が知る由なんてないのだから 「マジカルチェンジ ドレスアップ オーバーハート!!」 変身の呪文を唱える。 結局この呪文を言うの最後まで恥ずかしかったな… でもこれで最後だと思うと、少し名残惜しくもある。 変身が終わり、服装が赤いドレス姿に変わる。 「最終目標は霊魔獣の封印です。標的に十分なダメージを与えてから封印に移ります」 「言われなくてもわかってるわよ」 私はパートナーの精霊に不愛想に返事をした。 これがいつものやり取りだ。 おそらくこれが人生最後の会話だろう。 来世は、普通に生きて、普通に遊んで、普通に恋をして、普通に死んでいきたい。 もう魔法少女なんてこりごりだ。 世界なんて知るものか だから、もし生まれ変わったら女ではなく男として生まれたい。 そうすれば魔法少女になんてならなくて済むだろう。 そんな思いを抱きながら私は世界を救い、命を落とした。
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