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呼吸が整ったところで、輝十も門を潜り、校舎をまじまじと見上げる。
私立でここまででかくて綺麗な校舎の高校といったら、それなりに金銭的余裕のある裕福な家庭しか思い浮かばない。
輝十の家が西洋菓子店を営んでいるといっても、こじんまりと常連客を中心にやっているようなもので、こんな金持ちの通いそうな高校に通う金があるとは思えなかった。
「俺のバックに金持ちのおっさんがいるとかじゃないだろうな……」
あの親父ならやりかねん。俺の使用済みパンツとか写真付きで売りさばくぐらいのことはやってるのけるクズだ。
輝十が校舎に圧倒されている間に、次々と中に入っていく生徒達。
「はっ! こんなとこで突っ立ってる場合じゃねえ」
慌てて流れに乗って校舎に入り、教室を見回っていく。
「俺のクラスはっと……あ、あれ?」
クラス替えは教室の前に張り出されているものだと思っていた輝十は拍子抜ける。
どの教室にも張り出されてはいないし、入口に戻って掲示板を確認したり、校舎を出て門付近をうろうろして見るがそれらしいものは何も発見出来なかった。
おかしいな……どうなってんだ?
輝十はわけがわからないまま、また人の流れに乗っかることにする。するとどうやら体育館ではなく講堂に向かっていることに気付いた。
入学式は講堂でやるのか?
右隣を通り過ぎていく女子生徒を横目で見てみる。わがままボディのとんでもない美人だった。
「申し分ねえ美しさだ。形的な意味で」
そしてまた左隣を通り過ぎていく女子生徒を横目で見てみる。これまた可愛らしい中に色香を隠し込んでいるような美少女だった。
「申し分ねえ可愛さだ。サイズ的な意味で」
もちろん双方の女子生徒は容姿端麗なのだが、輝十が見ているのは言わずもがな乳的な部分だけである。
そのおまけのような流れで顔を見て、輝十は疑問に思う。
やたら顔や体のいい女ばっかのような気がすんだが……気のせい、か?
共学ならクラスに一人や二人、学園に数人いてもおかしくはない。しかし先ほどから見かける女子生徒はやたらレベルが高いように思えるのだ。
「うーん……」
と、呻ったところで門で見た黒いパーカーの女子生徒を思い出して、その疑念を払い飛ばす。
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