一章

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「いやでもな極道とか、いかにもっちゅうような殺人犯とか、そういうんじゃないんよ。誤って殺人を犯した・・・ちゅうわけでもないんじゃけど、何ちゅうか・・・そいつ自体は別に悪い奴じゃないんよ。」 いまいち話のまとまらない事にもどかしさを覚えながら、彼は頭をかいた。 「ま~人殺しといて悪い奴じゃないとか、元刑事のわしがいうのもなんじゃけどな」 一瞬表情をこわばらせた女将も、彼の誠実な様子を見てすぐに表情を戻した。 「わたしもこんな仕事してますし、今までいろいろな人を見てきましたから源さんの言ってること何となく分かります」 彼女はおちょこに残っていた酒を一気に飲み干すと、「呑みましょう!ついで下さい」と言わんばかりに、笑顔でおちょこを突き出した。
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