三日月~悲劇の始まり

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夕方6時半過ぎに、2代目イワマツヨシタカ(佳男)を乗せた特急あずさが到着いたしました。 「ただいま。」 「お帰りなさい。」 佳男と妻は、抱き合って喜んでいました。 「パパよ。」 「おお、元気だったか。」 佳男は、幼いわが子を抱きしめました。 佳男と妻の間に生まれた長男は、2~3歳になっていました。 すくすく育ちまして、いつの間にか大きくなりました。 佳男がオレを呼びました。 「オヤジ。」 「佳男、大きくなったなあ…たくましくなって。」 「ああ。オヤジこそ、体大丈夫なのか?」 「今のところはな。」 父と子が、会話をしたのはこの日が初めてでありました。 そのこちゃんはこう言いました。 「みんながそろったから、そろそろ行きましょうか。」
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