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「おはよう、母さん」
翔太はリビングに降りてすぐ、家事を熟(こな)している母さんに挨拶をした。
朝食を食べる食卓机には中学校で食べるお弁当が用意されていた。
ハクア
翔太の通う白亜中学校は、全国の中学校でも珍しい、給食の出ない学校なのだ。
翔太は食卓机に座りお弁当箱を鞄に詰めた。
「翔太、おはよう。 お前が寝坊なんて珍しいじゃないか。 まあ、時間は無くても飯はちゃんと食べて行きなさい」
翔太の向かい側に座って新聞を読んでいる父さんが口を開いた。
スーツを着こなしている辺りは、威厳のあるお父さんという感じがひしひしと出ている。
「うん、分かってるよ」
翔太はいただきますと行儀良く両手を併(あわ)せ焼いたトーストにかじり付いた。
「ああん、もう!お兄ちゃん! そんな急いで食べたら喉が詰まるよ!」
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