一章 光と言う名の闇

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 俺よりも早く起きて朝食を済ませていた妹の陽菜が心配そうな顔で、牛乳を注いでくれた。  翔太は牛乳を受け取り残りのトーストと共に、それを一緒に牛乳で飲み下した。 「陽菜、用意が終わったんだったら早く行こう。 遅刻しちまう」  まるで翔太は陽菜が寝坊したかのような言い草に陽菜は少しムッとした。  翔太はごちそうさまとこれまた行儀良く手を併せ、食器を下げてから自分の荷物を持ち、玄関へ向かった。  そんな兄のいつもと変わらない素っ気ない態度に、妹の陽菜は更にムッとした。 (お兄ちゃんの馬鹿・・・)  それは当の本人、翔太には聞こえない呟き。  だけど、これだけ見れば分かるはずだ。  そう、陽菜は世間一般に言うブラザーコンプレックス(お兄ちゃんが大好き)なのだ。  そんな事を露知らず、翔太はもう一度陽菜を呼んだ。 「陽菜ぁ~、置いてくぞ~?」 「お兄ちゃん、待ってよ!」  陽菜は椅子に用意してあった鞄を手に取り、玄関で待つ兄の元へと急いだ。  
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