悪魔が来たりて尺八を吹く

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「…………まだ夜じゃん。寝よ」 『残念、もう朝です。時間上は』 ベッドからむくりと起き上がり、窓の外を見た後もう一度寝ようとした透輝にアレスがぴしゃりと言い放つ。 ベッドサイドに置かれた、薄紫に輝くSSを恨めしそうに見遣った透輝は、観念したように一度伸びをした後右耳の後ろを軽く掻いた。 『今日の予定は?』 「バトル……かなあ。適当に休みをいれつつ」 『休みばかりになるくせに』 「さっすがアレス!よく分かってる!」 ベッドからもそもそと抜け出した透輝は、寝間着を脱いで適当に部屋の隅へ放るとクローゼットを開けてトップスとジーンズをだした。 『きちんと寝間着を畳みなさい』 と言うアレスのお小言も完全スルーで、服を着替えて長い前髪を紋章が見えるように編み込んで上げる。 イーラの居城と併設されたアナザーの住む寮の各部屋には一応キッチンが完備されてはいるが、大多数のアナザーは三食をラウンジで摂る。 透輝もその例に漏れず、ブーツの紐をしっかりと編み上げると、ゴツゴツという重たい足音を立ててラウンジへ向かった。 ラウンジの食事はかなり美味しい。 朝食(トースト、ベーコンエッグ、グリーンサラダ、フルーツヨーグルト)を兎から受け取った透輝は、隅の二人掛けテーブルに腰を落ち着けた。
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