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瞼を通しても分かるほどの強烈な光が収まり、透輝は目を開ける。
西ウィッカ、イーラの居城。その大広間に転送されてきた彼女は、すぐ傍を通ったイーラの使い魔である兎に声をかけ、≪魔女の証≫を手渡した。
「ウサギ、これをイーラ様に」
『了解ウサ。一休みしたら迎撃に回って欲しいウサ』
「はーいはい」
本来であれば広間の奥、謁見の間の大きな椅子に座っているイーラに直接≪魔女の証≫を渡す。
だが今、イーラはそこにはいない。彼女は今、城の奥深くで眠り≪進化≫の時を迎えている。
そして、普段は揺るぎ無い強さを誇る四方の魔女も、≪進化≫の間はかなり弱体化する。それ故、他のウィッカに属するアナザーが魔女に戦いを挑んでくる。そんな不逞の輩から自らが主と慕う魔女を守るため、手の空いたものたちで片っ端から魔女に挑みに来た他ウィッカのアナザーを迎撃しているのだった。
広間の左側の大きな扉の向こうには、西ウィッカに属するアナザーなら誰でも使用できるラウンジがある。アナザーはそこで雑談を交わしたり作戦を構築したりと、交流を深めている。
ラウンジの奥にいる兎から紅茶を一杯受け取った透輝は、手近にあったソファに身体を沈めると溜め息を吐いた。
「あー疲れた……あんなとこ潜ってたら此方までカビ臭くなりそうだ」
『透輝さんにしては持った方ですね』
「本当だよね!あーもう完全にアレス不足で元気が出ない!」
『これからは暫くバトルの方に回れそうですから…もう暫くの辛抱ですよ』
「アレスぅ……後でハグの嵐だあ……」
『結構です』
透輝の懐に四六時中常にしまわれているSSにいるデビル、ウヴァルのアレキサンドライトは、透輝のセクハラ発言を一言で斬って捨てた。
アナザー達は皆、デビルと契約している。
デビルと言えど最初はただの宝石だ。それに、バトルでしか溜まらない特殊な魔素を溜めていき、それが一定量以上に達するとデビルはSSから解放される。
解放されたデビルとの契約方法は簡単だ。
『契約者がデビルに名前をつける』ただそれだけ。
それだけの契約で、デビルは主のために力を振るう。
とはいえ常に実体化しているのは契約者への負担となるため、ほとんどのデビルはバトル以外ではSSに戻っている。
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