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「まあそんなとこ。分かってんなら早く金出してよ」
男は意地の悪そうな笑みを浮かべて右手を差し出す。
ったく。なんで俺がかつあげされなきゃいけねえんだよ。
「アホらし。おめえらに渡す金なんか持ってねえよ。じゃあな」
俺は軽く流してその場から去ろうとした。
しかしガシッと肩を掴まれて引き止められる。
「おめえ。シカトこいてんじゃねえよ。良いからとっとと金出せや」
さっきまでと違って明らかにイラついた様子で怒鳴り散らす男。
マジめんどくせえ。
「お前らさぁ……」
「――あーら。大樹くんじゃないですか。おやおや? かつあげされてんのかな? 助けてあげようか?」
いい加減イラついてきた俺の言葉を遮ったのは、背後からの男の声。
聞き覚えのある声に嫌な予感がしながらも振り返ると、そこには予想通りの男が立っていた。
ただ俺が全く予想していなかったのは、男は一人ではなかったことと、そいつら全員が武器を持っていたこと。
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