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「いやいや、おめえが帰ってどうすんだよ。おめえとやるために邪魔者追い払っただけだし」
和貴はツレの七人に顎で合図をした。
はあ。やっぱそうくるよな。マジ勘弁なんだけど。
しかしそんな思いが伝わる筈もなく、和貴は再びにやついた笑みを浮かべて言葉を続ける。
「まさか武田たちが居なかったおかげでこんな大物に会えるとはな。居なくてラッキーだったよ。今度こそ勝たせてもらうから」
和貴が言い終わる頃には他の七人も俺の周りを囲んでいた。
端(はな)から逃げられるとは思ってなかったけど、これで完全に逃げ道は塞がれたことになる。
「和貴さあ。俺一人相手に八人で勝って嬉しいの?」
返事は分かりきっているけど、一応聞いてみた。
「うるせえよ。おめえらさえ居なければ……」
和貴は言葉を切って眉間に皺を寄せると、「いい加減勝たせてもらわなきゃ気が治まらねえ。とりあえずついてこい」と言って裏路地に入っていく。
しゃあねえ。やるしかねえか。
俺は覚悟を決めて和貴の後を追った。
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