第四章:雷鳴と鏡の天秤

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 屋上での一件があって以来、芳永やその取り巻きからリアクションがないまま五日が過ぎた。  真裕美とは教室内で会話することもあったが、真裕美は何故かあまり教室に居ないため屋上で偶然顔を合わせた時に会話をすることが多い。  そして昼休みは基本的に昼メシを食ってから屋上に行くのが日課になっていて、今も鏡司と二人、馬鹿話をしながら屋上に向かっている。  いつも通り何の気なしで屋上のドアを開けると、いつもと違う光景が視界に入ってきた。 「先輩~。どうせ仕返しくんだよな? 遠慮しないで人数集めてきて良いよ。楽しみにしてっから」  人を小馬鹿にした口調で、うつ伏せに倒れている相手の髪を掴んで話しているのは真裕美。  髪を掴まれている女以外にも、少し離れたところに二人の女が仰向けに転がっている。靴の色からすると二年だろう。 「あーあー。やっちまったなぁ」  思わず出た一言に続いて鏡司も口を開く。 「おめえ、なに一人で面白えことしてんだよ?」  鏡司は心底楽しそうに瞳を輝かせて真裕美に歩み寄った。
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