第四章:雷鳴と鏡の天秤

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「いや、やる気はなかったんだけどさ。こいつらがやる気満々で仕掛けてきたから思わず……」  真裕美は倒れている三人を見ながら立ち上がる。  それを聞いた鏡司は「やる気はなかった?」と呟いた後、フッと鼻で笑いながら言葉を続けた。 「んな訳ねえだろ。仕返し楽しみにしてるとかほざいてた癖に。どうせ“おお、きたきた。ラッキー”みてえな感じだったんじゃねえのか」  鏡司はからかうような笑みを浮かべて女版鏡司を見ている。 「そりゃ……」  真裕美が口ごもりながら鏡司に返事をしかけた時、屋上のドアが開いていくつかの人影が見えた。  ぞろぞろとドアから出てきたのは七人で、そのうち三人は見覚えがある。 「あっ! 芳永さん。こいつらっすよ。立川の弟と、その連れの生意気なガキ。ついでにあん時の女も居んじゃねえか」  見覚えのある男は俺と鏡司を見た後で真裕美に視線を移した。  三人は五日前に屋上に来た五人のうちの三人だ。
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