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「……やっぱり、来てよかった」
数秒後、少女は目を爛々と輝かせそう言った。そして少女はカウンターの方へと歩き出す。
するとソファーに座り談笑していた者も壁に寄りかかる者も、一斉に視線を少女の方に向けた。
――好奇心と、警戒心。
どちらも含まれた目で、男たちは少女の動向を見る。
見られていることは少女も察しているだろうに、少女の振る舞いに乱れはない。
それが益々その場にいる者たちの好奇心を煽る。
「どの人にしようかなあ……いっか、あの人で」
どうやら少女はカウンター内に立つ七人の女の中から、一番左側に立つショートカットの女を選んだらしい。
少女はそちらに向かって歩いていく。
ところで、左側とはつまり西側の扉寄りのところになる。
扉の前に立つ老人の目が、近づいてくる少女の方にチラリと一瞬向けられた。
老人が少女を見たことに気がついたのは極一部の者だけだったが、その者たちの少女を見る目は好奇心よりも警戒心の方が強くなった。
「ようこそ、」
「「「ハルーナへ」」」
ショートカットの女を筆頭に、カウンターに辿り着いた少女に向け七人の女が声を揃えて歓迎の言葉を放つ。
「しかし、ここはまだ『ゲート』にすぎません。ハルーナに入国し自由に行動する為には、こちらで行われている入国審査が必要となります……そのご様子ですと、審査方法はご存知ですね」
黙って説明を聞いていた少女は目尻を下げにっこりと笑い、頷いた。
「では、説明なしに入国審査を始めさせていただきます」
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