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カタンコトン

　カタンコトン

　鳴り響くベルと共に客が慌てて駆け込み発車するような都会の魔力車に比べ、少女の故郷“ハルーナ”の魔力車は、心地いい振動と共に、ゆっくりと進む。

　少し離れた海から聞こえてくるのは、波がさざめく音と優雅に空を舞う鳥の鳴き声。

　少女はその懐かしい音に静かに耳を傾けながら、二人がけの椅子の背もたれに背を預け、窓の外へと目を向けた。

　空は血に染められたように赤く、空の色を映した地は緑色の草木が一面赤黒く光り、時たまぽつんぽつんとコンクリートで作られた家が見られる。

「相変わらず、ど田舎だなあ」

　数年ぶりに帰って来たにも関わらず“変わらない”故郷を見て、少女は嬉しさ半分呆れ半分のため息をついた。