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 少女が窓の外を眺めていると、通路の後ろから歩いて来た一人の男が、白い手袋を嵌めた手で少女の肩に触れた。  ビクッ  驚いた少女は肩を大きく上にあげ、耳元で二つに結ってある金色の長い髪を揺らしながら振り返った。  しかし少女は男の恰好を見ると「あっ」と一気に頬を赤く染めた。   「お客さん、券見せて」 「はい、すみませんっ」  この魔力車では、車掌に乗車券を切ってもらわなければならない。  すっかり忘れていた少女は、財布の中に入れておいた乗車券を慌てて取り出し黒い帽子を被った車掌に差し出した。 「へえ、ハルーナで降りるの?」 「はい」  少女の乗車券を見た車掌は両眉をあげ、少女の方をチラリと見た。  車掌の視線が何を語っているのかわかる少女は、「あはは、」と苦笑いを浮かべ頬をかく。    車掌は少女に切った券を返すと、右手を胸にあて目を閉じた。 「君に、神とスーマ様の加護があらんことを」 「ありがとうございます」  少女も同じく右手を胸にあて目をとじ、小さく微笑んだ。  目を開け少女の笑みを見た車掌は、眉を垂らすと悲しげに笑う。 「また、会えるといいね」  少女に一言だけ残した車掌は、少女がなにか言葉を返す前に、他の乗客のもとへと向かった。  
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