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スーマは笑った。
そして起こしていた体を再び倒し背を空間に預け、瞼を閉じてどこまでも続く“白”の景色を遮断した。
『スーマ様?』
声の主が若干の焦りをのせてスーマの名を呼ぶが、スーマは両手を後頭部につけて興味なさげに体をゴロンと横に倒した。
『馬鹿だねえ、カリアがヒトを選ぶことは絶対にないよ』
『しかし、』
『カリアはヒトでありながらヒトを憎む、それはもう俺以上に』
『ですが、』
『あーもう、うるさい!そんなに心配ならお前もカリアの傍に行けばいいだろうが!……あ』
あまりのしつこさについつい叫んでしまったスーマは、しまったと顔をしかめた。
『今……許可を出しましたね、スーマ様』
反して声の主は、してやったりとでも言いたげな口調。
スーマは目の前にいない相手のしたり顔が簡単に想像つき、右手を額にあてため息をはいた。
数秒の沈黙の後。
『……頼むから、あまり干渉はしてくれるなよ』
『解ってますよ、カリアには嫌われたくありませんから……では、行ってまいります』
男の声が全く聞こえなくなり、白い空間は再び静寂に包まれた。
『全く、カリアに怒られるのは俺なんだからな』
スーマのぼやくような声だけが響いた。
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