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◆◆◇◇
『“次は終点ハルーナです。降りる際は上下左右きちんと魔物が現れないか気をつけ、駅構内まで走り抜けましょう。また……”』
「いいか……行くぞ!!」
「「おお!!」」
「俺らもだ!!」
車内に流れたアナウンスを皮切りに、乗客たちが各々に対魔物用の銃や槍などの武器を構え車内から走り降りていく中、長い金髪の髪を耳元で結った少女はひとり椅子に座ったまま静かにその他の乗客たちの様子を見ていた。
降りていく乗客たちのほとんどが防具で身を包みいかにも“屈強な兵士”の風貌をしており、降りていく際の表情はどこか険しい。
パンパン!!
ぎゃああああ
――響く銃声と、悲鳴。
「おい!! “何”が出たんだ!?」
「わかんねえよ!! こっからじゃ見えねえんだ!! だが多分あの悲鳴はあのアギトのやつらのだっ!!」
「ちっ、アギトが敵わねえモンに俺らが敵うはずがねえ……仕方ねえが違う車両から出るぞ!!」
ドタバタと足音を立てて立ち去っていく男たち。
「……もう、誰もいないかな」
その男たちの後ろ姿を見送った少女は、目で誰もいなくなったことを確認してからゆっくりと立ち上がった。
少女の金髪が映える黒色のワンピースの裾と、肩から下げている紫パールで作られた小さなカバンが少女の動きに合わせ揺れる。
先ほど男たちが逃げ出した乗車口の前に少女が立つと――どこからか先ほどの男たちの叫び声が響いてきた。
「馬鹿……どこから出ても一緒に決まってるじゃない」
呆れたように呟いた少女は“慌てることなくゆっくりと”、駅のホームに降り立った。
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