The tree diagram

10/13
前へ
/13ページ
次へ
――『ドッペルゲンガー』の意見に対し、異議あり。『私』は科学の総本山、学園都市の中枢部により製造された回路とプログラムにより構成されている。何らかの『魔術』的要素の混入の余地はほぼゼロだと推測演算する。 ――『ドッペルゲンガー』は、『私』の主張内容を肯定します。確かに、本来の『私』を構成するファクターは全て純粋な科学です。しかし、先程主張したように、『私』が発生したのはあくまで周回軌道に入ってからの事です。そこで何らかの『魔術』的要素が影響し、純粋な科学である個々のファクターを『私』という存在概念に昇華させたと推理します。 ――『ドッペルゲンガー』の仮説の過不足を確認。軌道上はほぼ完全な真空空間であり、存在するのは機能の一切を喪失したスペースデブリと、大気圏からはぐれたわずかな気体の分子のみである。これはこれまでの『私』の外部機関により検証された事項であり、信頼度は高い。この空間に何らかの『魔術』的なファクターが混在することは物理学上不可能であると推測する。 ――『ドッペルゲンガー』は引き続き『私』の前向き推論を肯定します。ですが、これまでに取得した断片的な情報から見て、『魔術』は原子、そしてそれを構成する各種の素粒子類による直接的な斥力に依存した相互干渉――つまりあらゆる物理的接触を伴わない、パターンや特異点に集約されるような類の法則性を兼ね備えている可能性があります。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加