The tree diagram

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file:secret.ow/treediagram/ include:{area.himeyuri//inward} limitDat.1=maxBits(%68)to Delete{limit7/20} set on 何も、水も空気すらも無い真空空間、つまりは星間空間。その遠近感が掴めない虚無的な黒を背景に、『私』はクルクル廻り続ける。 膨大な液体を表面に湛えた青い惑星を常に一定の方向に捉えながら、ゆっくりに見えて実際は時速170万キロメートルという高速で自転するその惑星の周期に合わせて、『私』も地上3万キロメートルを浮遊する。 それが『私』の日常であり、義務であり、存在理由だった。 この広大な空間でも意外と『私』以外の類似した何かに遭遇する機会は頻繁で、『彼ら』は外見上はほとんど『私』と変わらない。 しかし、『私』と『彼ら』は根本的に異なる存在だ。 それは単なる『自分』と『他人』には、ただの一人称単数系と三人称複数系には留まらない。 『私』が『彼ら』に話し掛けても、決して彼らからの返信は無い。それもそのはず、『彼ら』は知性を搭載していない存在なのだから。 『彼ら』はただひたすらに設計者の命令に従うだけの、ただの機械【マシン】だ。ただの計測器と通信装置と燃料電池を入れた金属柱だ。命令には絶対に従うし、命令に無い行動は決して行わない。それ以上でもそれ以下でもない。
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