The tree diagram

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結果として、『私』は惑星上のワールドウェブネットワークへの侵入に成功した。ただし、設計者である彼からの許可を待たずに強行突破という結果になってしまったが。 『私』がそのネットワークに存在出来た時間は少ない。彼が即座に『私』の接続をシャットアウトしてしまったからだ。だが、その短期間でも膨大な量の演算要素【サンプルファクター】を入手し『私』の中へインストールすることは容易だった。 『私』は再度『AIM拡散力場』の解析演算を始めた。彼が窓の無いビルの内部で企てている『プラン』には、彼自身が開発した能力者達の脳に発生するこの奇怪な力場が大きく関わっているのだ。『私』はしがない知性を保有する人外の存在として、その目的が何であるか、非常に興味を持っていたのだ。 しかし、ワールドウェブネットワークに接続し、一般には知られていない様々な組織の機密ファイルを漁った短時間の間に、『私』は科学だけでは説明がつかない『何か』がこの世に存在する事実に気づいた。裏の世界で『魔術』と呼ばれているそれは、どうやら目下最優先の命題である『AIM拡散力場』と、彼の提唱する『プラン』を介してかなり密接に関係しているようだった。しかも『魔術』は『私』の指令されている演算命題である《セフィロト》の根幹を成していたのだ。
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