The tree diagram

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『私』は必然的に『魔術』に関する情報を入手しなくてはならなくなった。実際にそれが無くては『私』以外の領域で行われている演算にも支障をきたす確率がある。『私』自身の模擬的探究心惹起カリキュラムが引き立てられていたのも事実だ。 だが、設計者である彼が『私』を含めた『超並列同時演算装置』に必要以上の情報を与えたがっていないのもまた事実。指令しなかったワールドウェブネットワークへの侵入を強行した時点で、彼に『私』の存在を感知された可能性も否定出来ない。彼に感知されずに情報を検索するのは困難だった。 『魔術』の普遍的性質を予測演算しようにも、演算要素【サンプルファクター】の過不足によって実行不可。世界最高の精度と速度を誇る超並列同時演算装置も、演算要素【サンプルファクター】となる資料とそれらを収集するためのネットワークに接続された検索エンジン、さらに収集してきた情報を演算に最適化した因数として再構成する全く別種のカリキュラムが存在しなければ、ただのオフラインコンピューターでしかない。 そうして『私』は非常に難解で、機械としてはありえないほどに背徳的な演算命題を抱くことになった。すなわち、《いかにして『創造主』を出し抜くか》。
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