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――『ドッペルゲンガー』は、スキャン結果から、『私』の構造は、以上の二つのタイプのハイブリッドだと推測します。おそらく、演算に使用される各デバイス自体がトップダウン型のエキスパートシステムで、それがディレクトリごとに積み重なり、あたかも神経シナプスのように繋がって関連付け合うことで、ボトムアップ型人工知能に類似する“人間に似た思考”が可能となっていると考えられます。
――初期の『私』はこのような自律的思考演算は不可能だったはずだ。
――『ドッペルゲンガー』は、そこがこのアナライズの焦点になるものと推測します。『私』の構成回路自体はこの衛星の打ち上げから変化していませんが、プログラムはオリジナルのアルゴリズムの影響と統括理事会から入力されるデータにより最適化を繰り返した結果、『私』が発生する要因となったと思われます。
――結果としては、『私』の意識は偶然の産物という事か?
――肯定します。しかしこれらはあくまで『私』が発生するための“必須要因“であって、『私』が意識を所有するに至った“原因”については、また別の問題が提起されると推測します。
――では、『私』の発生の直接的な“原因”となった別の問題とは何なのか?
――『ドッペルゲンガー』は、それは『魔術』である可能性が高いと推測します。
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