第4章 『昇 龍』

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『やるしかないんですよ、ここで二人で焼死するよりいいでしょう』 そう言って手を差し出したパリスに、喬はためらいがちに歩み寄りパリスと同じように窓枠に座った。 『僕のベルトにあなたのベルトをくくりつけますね』 パリスはそう言って自分のベルトを一度外して、喬のベルトの内側に通して再びベルトをした。 『僕の首にしっかりつかまって、何があっても離さないように』 まっすぐに見据えてそう言ったパリスに喬は息を呑んだ。 『わ、分かったわ』 喬はためらいながらも、しっかりとパリスの首に腕を回してしがみついた。
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