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「……あなたは私よりうんとお金を持っているだろうし、一体何が目的なわけ?」
「言っただろう?
僕は見栄っぱりなんだ。
桐華と言うブランドのすべてが目的だよ。その美しさも強さも知名度も。そこそこの女なんかと結婚したくないんだよ」
強い口調で言った忍に、桐華は目を細めた。
「バカじゃない?
自分の側に置くものを最高で満たして、自分の至らなさを隠そうなんて、あなたって本当に可哀相な人ね。
それは自分の内側に潜む自信のなさの現われね」
吐き捨てるように言った桐華に、忍はニッと笑った。
「そうだよ。そして君もそうだろう?
自分の側に置くものは最高で満たしたかったはずだ。だから樹利に惹かれたんだろう?」
その言葉に、桐華はグッと言葉を詰まらせた。
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