幼馴染み

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あやかは少し抜けているが、とても愉快な奴だ。 あやかの数々の逸話が、それを物語ってくれる。 高校生の時、あやかは電車で痴漢に遇った。 「かずきくん、今日ね、電車に乗ってたら、知らない人に胸揉まれたよう」 それを聞いて、俺は業腹。 「揉まれてから、どうなったんだ? 大丈夫なのか?」 先ずは、あやかの心配をした。 そして、痴漢をどんな目に遭わそうか、思考を巡らせていると「……え? こ、興奮しちゃった……っ」とあやかが言いやがったから、俺は微笑えんで「あ、そうなんだ」と言ってやった。 二人でマックに行くと、あやかはアルバイトの会計に「スマイルくださーい。あ、お持ち帰りでお願いします」と言った。 アルバイトの女の子は、苦笑いだった。 「良いスマイルだね。……ククク。今後の辛い人生、いつまでその笑顔が続くか、私は楽しみだよ。因みに、この店は“明日へ羽ばたく翼”とかは扱っていないのかい? ククク」 あやかはそんな感じで、営業妨害を続けた。 その時は、アルバイトの女の子が、防犯用のペイントボールをちらちら見ているのに気が付いて、俺があやかをしばいて終わったんだ。我ながら、神の如き采配だった。 テストの結果を見せあった時、「あ、見て見てかずきくん。私最後の問題わからなかったから、“ここまで出かかってるんだけど、あとちょっとの所で思い出せない”って回答したら、先生二点くれたんだよっ」と心底嬉しそうに言うあやかを見て、俺は先生に説教をかます決意をした。 あやかに貸したCDが粉々になって俺の元へ帰って来た時、「てへっ、壊れちゃったよ。私可愛いから、許して」と言われ、俺は素直に許してしまった。
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